コラム：ひざ痛を治そう！
「ひざ痛治療法である荷重点調整法とは？」

ここまでひざ痛に関するさまざまな原因や問題点について述べてきましたが、具体的な治療方法というのはどういうものがあるのでしょうか？

そこで今回はヒアルロン酸やコンドロイチンなどの軟骨成分を摂取することに加えて、荷重点調整法についてご説明したいと思います。

荷重点調整法は、主としてアブライド・キネシオロジー（応用運動機能力学）にもとづいています。

キネシオロジーは、もともとは筋肉の自然な反射特性を治療に応用して、さまざまな体の不調を改善していく総合療法のことです。アメリカではスポーツ選手や身障者のトレーニングに広く活用されています。

荷重点調整法は、その中でも特に筋肉や骨のアライメントに着目したものです。

アライメントとは要するに「力が伝わる方向」のことです。この骨関節のアライメントが常に正しくあるように守り、維持しているのが靭帯と筋肉です。

当然、靭帯や筋肉の動きにも一定のアライメントがあります。

運動選手が足や肩などにテープを巻いてプレーしているのをよく見かけませんか。あれは靭帯や筋肉の正しいアライメントをテープで整え、固定することによって関節の機能を高めたり、筋挫傷などのケガを予防したりしているのです。

また、ケガによる痛みなども、そうすることで緩和できます。荷重点調整法も、理屈はこのテーピングと同じといっていいでしょう。

荷重点とは、アライメントに沿って力が伝わる点、ないし面のことです。ひざ関節が変形してくると、関節におけるアライメントが不安定になり、荷重点（面）が移動します。

痛みが出てくれば、それをかばおうと、不自然な姿勢や動きをとることで、荷重点のずれはさらに大きくなります。

その結果、ひざ関節痛の増悪、ひざ関節可動域（動く範囲）の狭小化、歩行距離などの機能低下が進むことになります。

また、長年にわたって荷重点のずれが続くことにより、軟骨（半月板も含む）、筋肉、腱、靫帯、関節包、神経や血流などに悪影響を及ぼします。

それらが高じると、ひざ痛や、腰痛、背中の痛み、首および肩の痛み、さらに足関節痛、足底部痛などを引き起こす場合も多くあります。

荷重点調整法は、こうした荷重点のずれ、アライメントの崩れをテーピングによらず、運動療法によって修正しながら、痛みの改善を図るものです。

では、荷重点の修正はどのように行うのでしょうか。

運動の目的は、アライメントが崩れている筋肉や靫帯などの調整ですが、それを行うためには、まず炎症を起こしている現在の荷重点の位置を変えなくてはなりません。

ひざ関節のように体重がかかる関節の損傷を進行させる最大の敵は、「荷重」「衝撃」「ひねり」の三悪と考えられています。

荷重は体重の増加などによる関節への継続的な圧迫、衝撃は重いものを持ち上げたりする急激な負荷、ひねりはアライメントに逆らうような無理な動きです。

ちなみに、身近なスポーツの中でこの三悪の危険をはらんでいるのは、例として卓球、テニス、バレーボールなどが考えられます。ひざ関節に障害のある方は同じ行うにしても、これらのスポーツは避けたいものです。

当然ながら、治療においても、この三悪は絶対に避けなくてはなりません。

たとえば、ひざ関節の場合、痛みが生じているのはもっぱら体重がかかる（荷重点になっている）大腿骨の内穎を中心とした、接合部一帯に炎症が起きているからですが、ここに直接運動で負荷をかければ、痛みは増すばかりです。

スクワットなどは、その典型といえるでしょう。整形外科では痛いのを我慢してやりなさいという医師もいらっしゃいますが、これではさらに人きな損傷を引き起こすことになりかねません。

荷重点調整法では、まず炎症を起こしている荷重点とは別の位置に力が加わるようにしながら、アライメント修正に必要な筋肉を強化するような運動を行います。

つまり、荷重点の一時避難です。避難先の荷重点は「力をかけても痛みや違和感を生じない」「ほかの関節に対して悪影響を及ぼさない」「病状が進行しない」といった箇所（位置）を探します。そして、本来の荷重点の炎症が回復したら、今度はそこに力が加わるような運動に切り替え、これまでとは違った筋肉を鍛えることになります。

これなら運動中に痛みを感じることもありません。万が一、痛みがあるようなら、いったん運動を中止にし、別の荷重点の避難先を探して切り替えればいいのです。

その後は、「荷重」「衝撃」「ひねり」を伴うような生活動作を極力避けながら運動を続けていけば、ひざ関節の変形はそのまま残っても、痛みは徐々に和らぎ、同時に可動域も拡人し、正常に近づきます。

参考にしてみてください。

なお、ひざ痛が気になる方に愛用されているのがヒアルロン酸です。ヒアルロン酸とは、ムコ多糖類の代表的な成分ですが、その大きな特徴は１ｇで６リットルの水を保持できるという、その保水性です。最近、美容や関節サプリメントの主成分としてヒアルロン酸が注目されていますが、これは主にこの能力によるものです。

ヒアルロン酸はその保水能力により、関節の中で、軟骨の持つクッションの役割を補完・代替してくれることから、関節系のサプリメントの主要成分として重宝されている、というわけです。関節痛や変形性ひざ関節症にお悩みの方はヒアルロン酸サプリメントも活用してみてはいかがでしょうか。

ちなみにヒアルロン酸の飲み方として、同じく軟骨を形成する成分であるグルコサミンや、その形成を助けるコンドロイチンと同時に摂ることで相乗効果が期待できると言われています。最近ではこれら３つの成分が同時に摂れるサプリメントも販売されていますので、興味がある方は試してみてください。

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